脳科学の立場では、痛みの感覚は脳内で総合的に「生成」され、傷ついた組織がある程度回復しているのにもかかわらず、脳内の情報処理プロセスの誤作動や過剰反応によって痛みが持続することがある、とされます。(この現象を“中枢感作”と呼びます)
また、痛みが慢性化する(長引く)と「自分は痛みを持った存在だ」というセルフイメージが定着し、自分のアイデンティティの一部になるとも言われます。
「中枢感作」も「痛みの自己同一化」も、痛み改善を目指す上では「不利」です。
なぜなら脳が「痛みありき」で世界を認識・予測・行動してしまい、 “誤作動”を誘発するばかりでなく、自らの治癒力をも封じ込めてしまうからです。しかもこれは、単なる気合いじゃリセットできない“神経可塑性(脳の学習・癖付け)”の問題でもあります。
日本人の8割以上が生涯において経験するといわれる「腰痛」
腰痛には「脳内処理の誤作動」や姿勢や筋肉だけでなく、睡眠不足、栄養、何か器質的な問題、ストレス、メンタルなど多種多様な因子が絡むとされています。

これらが複雑に絡み合い腰痛は起こる。主に生理学、解剖学、運動学、精神医学の領域(腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版より
腰痛の誘発因子はなんですか?「人間のすべて」です。というのは何も言っていないに等しいのですが、実際、そういう側面はあります。
“そのままの腰痛”はあまりにも得体が知れず、いつまで経っても突破口がみえません。
だからこそ、痛みを“再解釈”する必要があるのです。
腰痛は、あえて「パズル」として捉えましょう。
暫定的に「力学のパズル」として捉えます。もちろん然るべき検査を受けてから。
これは守りを固めてから取り入れる“攻め”の思考法です。
そもそも人は無意識に痛みを避けている
これも良い悪いの話ではなく、端的に不利だという指摘ですが、痛みを繰り返してしまう人には以下のような「思考の癖」があります。
・過去の記憶や体験から「痛みはコントロール不能なものである」という強固な前提を内面化している。
・痛みが少し減っても「だけどどうせまた‥」と否定的に捉えてしまう。(確かに在るポジティブな変化を見過ごし、ネガティブな変化に固執してしまう)
・自分の身体は自分にしか変えられないと理解しつつも、どこか他人(医師や施術者、薬など)に委ねてしまう。
結果として「パズルの視点」をもてずに、がんじがらめになってしまいます。
ですが、そういった方も含め、人は無意識に痛みを避けています。「こうすると、ちょっとマシ」と。何気ないその行動はものすごく重要なとっかかりです。
足をのばして寝ると痛い▶︎曲げて横向き寝だと痛くない
立つとシンドイ▶︎しゃがむか歩いてる時は楽
座ってられない痛みがある▶︎背骨を上に伸ばす/足の小指を開くとマシ
再現性のあるそれらは偶然ではありません。
「腰椎への伸展ストレスが減る」「筋の伸縮および血流が促される」「坐骨神経への圧迫または牽引ストレスが減る」などの理由からマシになっているのです。
動物や人間が自然界のなかで生き延びるためには、「どの動作が危険を回避できるか」「痛みをどうすれば抑えられるか」といったフィードバックを即座に得て対応する必要がありました。私たちは学習や反射を通じて、自然と解決策を探る能力を身につけてきたということです。
さらに人間は「なぜ痛むのか」「どうすれば痛まなくなるか」を思考できる高度な認知機能を併せ持ちます。
避けたい(本能)+原因究明したい(知性)という二重の仕組みを有しており、そこに「痛みをパズルとして捉える余地」が生まれます。
「反ると痛いけど屈むのは平気」くらいのありふれた現象も、理屈で説明可能な「力学的パズルのピース」であり、原始的な生存戦略の延長線上にある希望の証です。
「素人に理屈はわからない」と思うかもしれませんが、それも問題ありません。攻略本はネットにあります。YouTubeやAIから適していそうな意見を探し、淡々と試していけば良いのです。そのうちに選球眼も磨かれ、一定の法則性がみえてきます。
というか究極、攻略は自分にしかできません。「やってもらう」「治してもらう」に持続可能性はありません。
その場しのぎに頼り続けるか
自分だけの攻略本を作るか
痛みとの向き合い方はこの二択なのです。
自分で自分の扱い方を学んでいかなくてはならないのです。ただ当然「何がなんでも自分で解決しなければいけない」わけではなく、必要な医療的アプローチは受けるべきですし、僕も相談されれば乗ります。(SNSは気まぐれ。期待しないで)
辿り着くのは容易ではないかもしれません。見なくてよいものも溢れていますから。ただ、忘れてはならないのは、地球は医学の世界ではなく「物理の世界」であるということです。重要なのは身体の声に耳を傾け「マシになる」感覚を得ることです。どの感覚が変化すれば痛みは軽減するのか?問い続けましょう。
答えは“外”にはありません。
あなたが経験する「こうするとマシになる」の延長上にあります。
・楽になる体勢をメモする
・痛みの出るタイミングや環境を記録する
・ネットから“仮説”を集めて検証してみる
まずは“パズルのピース”集めをしましょう。
痛みはパズルであり、自分はそのピースを持っている。
焦らず粛々とゲームのように向き合う。
こういったメタ的な姿勢そのものが、“自分=得体の知れない痛み”という受動的状態から「痛みを第三者的に客観視し、攻略対象として見る」能動的状態への転換を促進し、脳内の既存の痛み生成メカニズムに再解釈を与え、痛みを引き起こす神経回路の興奮を冷静に抑止するのです。
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