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さて今回は、
丹田は「意識する場所」ではないし「力を入れる場所」でもない
という話をします。
これは大きく言えば「身体を整えるための話」ですし、「腰痛」や「ぽっこりお腹」や「過緊張」にも深く関係する話なので、ぜひ読んでみてください!
よくある誤解「お腹は力を入れ続けるもの」
「丹田を意識する=下腹部に力を入れるのは良いこと」
「お腹の力は常に入れておけばいい」
「座っている時や立っている時は“ドローイン”をやっておけばいい」
と思っていませんか?
実は、「丹田を意識して下腹部に力を入れ続ける」と、身体に様々な悪影響が及ぶことが考えられます。(詳しくは次項で解説します)
お腹は頑張って力を入れ続けてはいけないのです。
そもそも「丹田」は、物理的に存在する器官ではありません。東洋医学でいう「気が集まる場所」とされる概念です。
一般的には、おへそから約10センチ下にあるとされ、その箇所に存在する筋肉は「腹横筋(下腹部の深層筋。いわゆるインナーマッスル)」です。
腹横筋は、「呼気(息を吐く)」や「骨盤後傾」に作用しますが、意識して固めるものではなく、条件が揃えば自然と働く筋肉です。
なぜお腹がぽっこりするのか
ぽっこりお腹の原因は、まさにこの腹横筋が適切に働いていないことにあります。
腹横筋は腹部を内側から引き締める「天然のコルセット」のような筋肉で、この筋肉が機能していれば、下腹部は自然と引き締まります。逆に機能しなければ、他の体幹深層筋(腸腰筋や横隔膜や骨盤底筋)の機能不全に繋がり、内臓を支えきれず、骨盤の前傾も制御できず、お腹はぽっこりしてきます。


では、なぜ腹横筋が働かなくなるのか?主な原因は3つです。
①胸郭と骨盤の位置関係
骨盤の真上に胸郭がまっすぐ乗っていれば、腹圧が適切に発動し、下腹部も自然と安定します。
逆に、反り腰(ロードシス)やスウェイバック姿勢では骨格の配置が崩れ、腹圧が“支え”としての役割を全うできなくなり、背筋群や腰椎のロッキングで無理に支えようとする代償が生じ、同時に腹筋群は抑制されやすく(=働きにくく)なります。
②肩甲骨の位置
肩甲骨が前傾・挙上する(巻き肩・肩がすくんだ状態になる)と、首や肩の筋肉が優位になり、首や肩で息を吸う浅い呼吸パターンに陥ります。これにより腹部の力も抜けやすくなります。
肩甲骨位置が肋骨上で安定し、鎖骨が開いて首がすっと伸びる姿勢になる(軸伸張 エロンゲーション Elongation ができる)と、横隔膜が機能し、下腹部も働きやすくなります。
③呼吸パターン
横隔膜を使った腹式呼吸ができていると、横隔膜が下がるときに腹腔内圧が高まり、腹横筋も協調して働きます(呼吸に連動した“適切な腹圧”が得られる状態)。
しかし、首や肩で息を吸う胸式呼吸が習慣として繰り返される状況下では、これが起こりません。腹横筋や横隔膜は機能しにくくなります。その上、力学的にも神経生理学的にも「全身の過緊張」に繋がりやすい状態になります。

局所で捉えても仕方ない
「下腹部だけ」に注目しても身体が良くならない理由は、全身は連動しているからです。
- 胸郭の位置がズレる → 骨盤も傾く → 骨格配置が崩れる → 腹筋が働かない
- 肩甲骨位置が前上方に偏る → 首・肩優位の呼吸 → 呼吸が浅くなる → 体幹が安定しない
- みぞおち〜下腹部を固める → 胸郭が立ち上がらない → 姿勢が崩れる → さらに腹部が働かない
ぽっこりお腹も腰痛も過緊張も、「下腹部の筋力不足」ではなく、全身の配置と呼吸の問題と捉えましょう。上体起こしをして腹筋を鍛えまくっても、常に下腹部の力を入れ続けても、残念ながら良い変化は期待しにくいのです。
やるべきことと、その優先順位
鍛えるという意識は、むしろ邪魔なので一旦無くしましょう。繰り返しますが、下腹部(丹田)は、鍛えるというより整えておくものです。
- 胸郭-骨盤のアライメントを整える
骨盤の真上に胸郭を乗せる意識。反り腰や猫背を修正。
→ 骨格で支える土台を作る - 肩甲骨の位置を整える(鎖骨を開く)
巻き肩を修正し、首を長く保つ。
→ 横隔膜が働きやすい呼吸環境を作る - 横隔膜で呼吸する
肩で吸わず、お腹で息を吸う習慣をつける。
→ 腹腔内圧を安定させ、体幹が自然に働く状態にする
この3つが揃えば、腹横筋(下腹部/丹田)は自動的に働きます。力を入れて固めるのではなく、自由に使える状態にしておくことが大切です。
代表的な腹横筋エクササイズ「ドローイン」は、「筋感覚をつかむ練習」や「筋出力を底上げする手段」としては有効ですが、それを立位や座位で常に繰り返す必要もありません。姿勢と呼吸が整っていない状態でドローインを繰り返しても、前述の「固める→崩れる」悪循環に陥るだけだからです。
まとめると、重要なのは以下の3点になります。
- 胸郭と骨盤をまっすぐ積む
- 鎖骨を開き首を伸ばす
- 肩ではなくお腹で呼吸する
これらを整えることを前提としつつ、必要に応じて各機能を高めるエクササイズなどを加えていく。それが、無理なくできて効率的な身体づくりのやり方です。無理に力を入れなくても、お腹は締まっていきます。
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