お越しの方の中にはこのような悩みを抱えてらっしゃる方もいます。
肋骨の出っ張り「リブフレア」
リブフレアを修正するメリットとしては
・見た目の改善(肋骨やウエストが引き締まる)
・肩コリや腰痛や坐骨神経痛など痛みの予防あるいは改善
・呼吸が深くなる/自律神経症状の改善(寝つきが良くなるetc.)
等が挙げられます。
裏を返せばリブフレアがある状態は、痛みや不調が起こりやすい状態ともいえるわけです。
そこで本記事では
・リブフレアの概要
・リブフレアが全身に与える影響
・リブフレアの改善に必要な考え方
についてお伝えします。
リブフレアの概要
まず、リブフレアは「肋骨下角が常時90度以上開いた状態」と定義されます。

本来「肋骨の動き」は他の筋肉や関節と連動しますが、リブフレアの場合は、連動が破綻し「偏った姿勢・動作・呼吸」が癖になるなど、その影響が全身に波及します。
具体例をいくつか挙げていきます。
リブフレアによる悪影響
①呼吸の問題
上掲GIF画像を見て頂くとイメージできるかと思いますが、肋骨は「横隔膜」と連動します。
横隔膜が収縮(平坦になる)➡肋骨外旋(開いて出っ張る)
横隔膜が弛緩(ドーム状になる)➡肋骨内旋(閉まる)
リブフレア(肋骨が常に外旋位)の場合は、常に横隔膜が収縮している状態といえ、横隔膜の動きは乏しくなっています。
横隔膜は「腹式呼吸時に用いる体幹筋」です。普段の呼吸(安静時吸気時)の6割は横隔膜の作用による、というのが人体の原理原則ですが
リブフレアによって横隔膜の動きが乏しくなった状態は、腹式呼吸が行いにくくなり、ほかの吸気筋群の過活動に繋がります。

実際、リブフレアがみられる方の「呼吸の特徴」として「胸式呼吸の癖(息を吸う時に肩が上がる傾向)」がみられます。
要は、本来メインの筋肉である「横隔膜」が働きにくくなった代わりに、首や肋間や胸や背中の筋肉を使って息を吸っているのです。
呼吸は状況によって使い分けるべき運動であり、腹式も胸式も過不足なく行えることが不調や痛みを防ぐうえは大切です。
呼吸の偏りがあると
・首コリ肩コリ
・手のしびれ
・肋間神経痛
・自律神経失調症
などに繋がる場合があります。

②脊柱(≒体幹筋群)の問題
肋骨は「横隔膜と連動する」と述べましたが、脊柱(背骨)とも関わりが深いです。

背骨を動かすと、肋骨も動きます。(↑のように肋骨に触れながら背骨を丸めたり反らしたりするとわかると思います)
脊柱伸展(背骨を反らす)時➡肋骨外旋(開いて出っ張る)
脊柱屈曲(背骨を丸める)時➡肋骨内旋(閉まる)
リブフレアがあるということは、

腰椎を過伸展(≒椎間関節ロッキング)する癖がついている可能性も高く、そうであれば腰椎に対してコンスタントな伸展ストレスが発生している、といえます。

また、いわゆるインナーマッスルのバランスが崩れ、腹圧を利用することが困難になり、姿勢や動作や内臓位置が不安定になることも考えられます。

腰椎伸展ストレスは
・腰痛(椎間板性/筋筋膜性)
・坐骨神経痛
・腰椎分離症
体幹筋機能不全は
・呼吸の偏り
・腰痛
・ぽっこりお腹
・尿もれ
などの誘因になり得ます。
③四肢の問題
リブフレアは「脊柱アライメントや体幹筋群の“偏り”の元になる」ということは、当然ながら四肢にも影響します。
中でも多い姿勢や身体機能の特徴としては
「膝を伸ばし切る癖」「足首の硬さ(詰まり)」「肩をすくめる癖」「胸の丸み」がみられやすいです。

↑を参考に視覚的なイメージしながら身体を動かすとわかるかと思いますが
肋骨外旋-腰椎伸展-骨盤前傾に伴う関節運動として
・膝の過伸展(膝をピンと伸ばし切る)
・足関節の「底屈」(つま先を下げる動き)
・胸椎の「屈曲」(猫背)
・肩甲骨 挙上-前傾-下方回旋(肩が上がる)
が起こりやすく、その影響によって
・膝痛やknee inの癖
・股関節前側の詰まり
・大腿外側組織の過剰使用(とそれに伴う“張り”や腸脛靭帯炎などの痛み)
・足首の詰まり
・肩のコリや動作時痛
なども起こりやすくなります。
リブフレアの改善に必要な考え方
ここまではリブフレアが全身に与える影響について述べてきました。
ここからは実際にリブフレアを改善する上で必要な考え方と「まず何をすべきか?」具体的なアクションプランを提示します。
結論、リブフレアの改善を目指すなら「呼吸」に対するアプローチ優先すべきです。
理由は「呼吸の問題」は24時間365日発生し続けるものであり、また「呼吸」は意図的に変える必要があるからです。
横隔膜に限らず、筋肉は「使いやすい所をとことん使う」「使わない所はとことん使わなくなる」性質があります。
なので、そもそもリブフレアの方はいくら腹筋を鍛えても「肩で息を吸う」癖がついている限り、横隔膜は使えるようにはならないのです。腹筋の筋力自体はあっても、肋骨は出っ張り、腰は反ったまま、という事もあります。
呼吸を変えることを目的として、まずは↓のような「脊柱を屈曲させた状態で息を吐き切る」練習から始めましょう。

先にも述べた通り、肋骨の動きは背骨や横隔膜の動きと連動します。
背骨を丸めるだけで肋骨は外旋位から内旋しやすくなり、肋骨が内旋すれば横隔膜も弛緩しやすくなります。この体勢で息を吐き切る事で側腹部や下腹部(腹斜筋など)に力が入り、吸う際には弛緩した横隔膜が収縮しやすくなります。つまり腹式呼吸が行われます。
勘の良い方はお分かりかと思いますが、基本的にリブフレアを改善するための運動の方向性としては「背骨を丸める」動きがより重要になる、という事です。

背骨を丸めて、肋骨を内旋させて、腹式呼吸の感覚を掴むことができたら
それから、次の段階として、カラダを起こしたときにも「吸った際の腰のふくらみ」を感じられるように練習します。

腹式呼吸を行えている時は、吸う際に「側腹部や腰部」のふくらみが感じられます。風船がぶわーっと膨らむかのように腰が拡張するので、それを触れて確認しましょう。
コツは「息を吐いた時のお腹の力を吸う時も入れ続ける(腹斜筋の持続収縮を意識する)こと」です。
まずは呼吸の癖を変え、肋骨や横隔膜の動きを変え、そこから四肢へのアプローチへ移行する
そんなイメージでリブフレア改善を目指していきましょう