坐骨神経痛を改善する上で、一般的によく知られた考え方のひとつとしては
“梨状筋”のストレッチが挙げられます。
たしかに、梨状筋の過剰な緊張は、坐骨神経へのストレスとなり、坐骨神経痛を誘発するひとつの因子となりやすいです。
梨状筋は、収縮するにせよ伸長されるにせよ、坐骨神経に影響(圧迫ストレスなど)を及ぼす可能性が高い筋肉といえます。(僕自身も直接的な手技の対象とすることがあります)
しかし、いくら梨状筋(お尻周り)のストレッチをしても、その場しのぎ以上の成果を得られないケースも多々あるのが実際のところです。
そこで今回は【梨状筋ストレッチ】からもう一歩踏み込んだ、骨盤の状態からみる坐骨神経痛のアプローチについて解説します。
坐骨神経痛に悩まされている方は、参考にして頂けたら幸いです。
骨盤の状態からみる坐骨神経痛のアプローチ
梨状筋と坐骨神経の関係は先に述べたとおりですが、坐骨神経痛を改善する上での基本的な考え方としては
坐骨神経が走行する“スペース”を十分に確保すること
コレが重要になるケースは多いです。
坐骨神経が通るスペースとしては、今回のテーマである【骨盤】があります。
“骨盤”というとなんとなく【ゆがみ】【矯正】などのワードを連想される方も多いかもしれませんが
実際、骨盤には多くの筋肉が付着しますし、多くの筋肉が付着するからこそ常日頃の姿勢や動作の影響を受けやすいです。
言い換えると骨盤は痛みやしびれの起こりやすさ/軽快しやすさにも特に影響しやすい【機能改善の優先度が高い】部位である、ということです。
坐骨神経痛を抱える方の「姿勢の傾向」
さて、坐骨神経痛を抱える方の「姿勢の傾向」としては
いわゆる【反り腰】もしくは【スウェイバック】姿勢が常態化しているケースが圧倒的に多いです。
先にも述べたように、坐骨神経痛を改善する上では坐骨神経が走行する“スペース”を十分に確保することが重要ですが
骨盤内の坐骨神経が走行するスペースを確保するには、反り腰やスウェイバック姿勢にみられる【骨盤アライメント(骨の整列、前後左右の位置や回旋・傾きなどの偏り)】の修正が必要になります。
骨盤はひとつの骨ではなく【ふたつの寛骨とひとつの仙骨】によって構成されているので
骨盤アライメントによって、骨盤内のスペースは変化するわけです。(下の画像からイメージして頂けるとわかりやすいかと思います)
反り腰にしてもスウェイバックにしても、多くの場合、
痛み(坐骨神経痛)の出ている側の骨盤は、やや前に出て(回旋し)、かつ前へ傾き、仙骨と寛骨が接近し、坐骨神経が通るスペースは狭小化しています(上図右側=赤丸のような状態)
よって、骨盤内のスペースを確保し、坐骨神経に対するストレスを減らすためのアプローチの方向性として‥
骨盤を後ろへ引く/後ろへ傾ける作用を有する筋群=ハムストリングスや腹横筋や腹斜筋の活性化
が優先されます。