坐骨神経痛は、坐骨神経の走行する領域(お尻、太もも、すね、ふくらはぎなど)に発生する痛みやしびれの総称です。
ですが実はその背後には「骨盤の状態」が深く関係しています。
本稿では、坐骨神経痛の原因を「骨盤にフォーカスして」掘り下げた上で、具体的な改善アプローチ案やその前準備/痛みの応急処置になるケア方法の解説をします。
坐骨神経痛の原因といえば
原因としては、筋肉や骨格の状態が坐骨神経に圧迫あるいは牽引ストレスを与えることが挙げられます。有名なのは、梨状筋が坐骨神経を圧迫するケース。
梨状筋と坐骨神経の関係
- 梨状筋の下を坐骨神経が通るのが一般的(約90%)
- 約10%の人では、梨状筋が坐骨神経を貫いたり、上下を挟むように走行
たしかに、梨状筋の過剰な緊張は坐骨神経にストレスを与える可能性があります。
しかし実際には、梨状筋を含む「お尻」をいくら伸ばしたりほぐしたりしても一時的にしかマシにならないことも多々あります。
そういった場合は考え方として「お尻の緊張」以外の他の原因も疑う必要があります。その一つが「骨盤の状態」です。
骨盤の役割と坐骨神経への影響
人体における骨盤の役割は、体重を支えて下肢に伝え、内臓を保護し、姿勢維持と運動の基盤となることです。骨盤には多くの筋肉が付着し、多くの神経が通過(走行)します。
骨盤内を通過する神経…坐骨神経、陰部神経、閉鎖神経、上殿神経、下殿神経、大腿神経、仙骨神経叢の枝、および腰仙骨神経幹
骨盤に起始あるいは停止する筋肉‥腸骨筋、梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、大内転筋、恥骨筋、縫工筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、尾骨筋、そして骨盤底筋群(肛門挙筋・会陰筋など)骨盤内の臓器…直腸、膀胱、尿道が共通し、男性では前立腺や精嚢、女性では子宮、卵巣、卵管、膣
坐骨神経(坐骨神経痛)との関係性としては、骨盤腔内を坐骨神経が通過(走行)しますが、骨盤が適切な位置(適切な状態)にないと坐骨神経が通るスペースが狭くなり、神経に持続的な圧迫ストレスがかかることで坐骨神経痛を誘発する一つの因子になる得る、といった形です。
↓の画像でイメージして頂きたいのですが、大抵、坐骨神経痛が出る側の骨盤が前傾しています。あおむけになると坐骨神経痛が出る側のつま先だけやたら外へ倒れたり、場合によっては両手で骨盤の出っ張りを触り比べると坐骨神経痛が出ている側が高くなっていることもあります。
こういった不均衡は「日常的な特定筋群の過剰使用/不使用」ひいては「筋肉の状態・姿勢・動作の癖が坐骨神経痛へのストレスとなっている可能性」を示唆しています。


坐骨神経痛の原因になりやすい骨盤周囲の筋肉
- 骨盤周囲の主要筋群:ハムストリングス、臀筋群、腹横筋、腹斜筋
- 骨盤底筋:骨盤の底を支える筋肉群
- 脊柱起立筋群:背中や腰を支える筋肉群
主にこれらの筋肉の過剰緊張あるい不使用(不活性)によって骨盤の位置や角度に偏りが生じることで坐骨神経への圧迫ストレスがかかる場合があります。
これらは後半に紹介するアプローチの対象となる筋群です。
坐骨神経痛を抱える方に多い姿勢の傾向
筋肉のアンバランスは姿勢や動作と相互関係にあります。坐骨神経痛を抱える方に多く見られる姿勢の傾向としては次のようなものがあります。
1. 反り腰
骨盤が前傾し、腰椎が反り返る姿勢です。この姿勢では骨盤内のスペースが狭くなり、坐骨神経へのストレスが増加します。
2. スウェイバック姿勢
骨盤が前方に突き出て、上半身が後方に傾く姿勢。この場合も骨盤内のスペースが圧迫され、神経への負担が増えます。
常態化した反り腰やスウェイバック姿勢は、今回のテーマである「骨盤の状態」という文脈上だけでなく、今回取り扱わないその他の坐骨神経痛誘発因子(足部や背骨の状態)への影響という観点からも「坐骨神経痛の直接的な原因」と言える状態です。
改善アプローチ:①応急処置/エクササイズの準備
過剰緊張している場合が多い外側広筋~外側ハムストリング間を直接ほぐしましょう。これはのちに行うエクササイズの対象となる筋群を刺激をしやすくするだけでなく「坐骨神経痛の応急処置」として有効な場合が多い方法です。
改善アプローチ:②骨盤の坐骨神経走行領域(スペース)を確保する
坐骨神経が骨盤内を通るスペースを広げるためには、以下の筋肉を重点的に活性化することが重要です。
・腹横筋/腹斜筋
・内側ハムストリング
どちらにも骨盤を後方に引く(後傾や回旋)作用があります。これにより、前に傾いた骨盤を正しい位置に戻しつつ骨盤内のスペースを確保し、神経へのストレスを軽減します。
他にも今回触れていませんが背骨の状態や足部の状態もあわせてみていく事が坐骨神経へのストレス(坐骨神経痛)を抑える上で大切です。
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