腰痛は“どんな状態”になれば「治った」といえるのか?
僕がこの業界に入って以来感じてきたのは、世代問わず多くの方が「痛みがなくなる=治る」と認識している事と、その“危うさ”です。
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社が2023年に実施した「人生100年時代 ×デジタル社会の総合的なヘルスリテラシー※1 国際調査」 (https://www.jnj.co.jp/media-center/press-releases/20231208)によると
日本の生活者のヘルスリテラシー自己評価は他の5カ国と比較し最低であり、健康・医療情報の判断、適切な医療受診、症状の説明への自信は低く、痛み・苦痛を我慢しがち、と報告されています。
雑なまとめ方をすれば‥
日本人は自分の身に起きていることの直視を避け、対処を他人任せにする傾向があるわけです。薬や病院が身近すぎるからでしょうか。
多くの腰痛患者が「通院し続けても治らない」理由や日本が“寝たきり大国”と化した理由にも「疾患に対する当事者意識の欠如(他責思考)」や「“治る”の認識」は絡むのではないかと考えます。僕は過去に医療機関に勤めていましたが、病院内外問わず「痛みがなくなる=治る」「腰痛=治してもらうもの」こういった意識が人々に深く根付いている印象です。
そこで今回は「治る」の定義について、改めて考えていきます。
「治る」の定義とは?
痛みがなくなる=治る
こう定義するならば、極論、治療は痛み止めで事足ります。
薬で痛みを消せば一件落着となるはずです。しかし実際は事足らず、多くの腰痛患者は「ぶり返し」を経験します。
痛みがなくなる=治る、ではないのです。
虫歯に置き換えて考えると【麻酔で痛みを感じなくした状態】は虫歯が治ったとはいえません。原因は残っています。放置すれば悪化するでしょう。腰痛を抱える方が取るアクションの多く(ぶり返すメカニズム)は、これです。
麻酔をし、治療を受け、虫歯を除き、汚れが溜まる所を把握し、歯磨きの仕方を覚える=自分で再発予防し続けられる
そんな状態になってはじめて「治った」といえます。腰痛も坐骨神経痛も一緒です。
つまり
痛みがなくなる=治る、ではなく
自分で再発予防し続けられる=治る
だということです。
痛みを何度も繰り返してしまう人は、まず治るの認識を改める必要があるでしょう。
治るために必要なのは「痛みを消すアプローチ」ではなく
・痛みの仕組みを知る
・痛みを産む行動を無くす
・痛みが出ても対処できるようになる
です。課題がわかれば、取るべきアクションも変わると思います。
自分の健康を守れるのは自分しかいません。本当の意味で治していきましょう。