今回は痛み改善や姿勢改善において非常に重要な役割を持つ
“ヒトが一生鍛えるべき2つの筋肉”についてお伝えします。
一生鍛えるべき首の『頸長筋』腰の『腸腰筋』
人体の法則性として、構造が類似した筋肉は機能も類似している事が多いのですが
たとえば首の筋肉『頸長筋』と腰の筋肉『腸腰筋』はそういった関係性にあります。
上掲画像の通り
・頸長筋は上位頚椎〜胸椎にかけて
・腸腰筋は下位胸椎〜腰椎〜骨盤〜大腿骨小転子にかけて
付着する「深層の筋肉」です。つくりが似ています。
機能的にも、それぞれ“交差症候群”改善のカギになる、という点で似ています。
それぞれ『交差症候群』改善の鍵になる
頸長筋は「上位交差症候群」(いわゆるストレートネックの状態 HFP Head Foward Postureとも)
腸腰筋は「下位交差症候群」(体幹-骨盤-下肢アライメント不良 猫背や反り腰、スウェイバック姿勢のような状態)
を改善するうえで重要な作用を持つ筋肉です。裏を返せば、これらの筋肉が弱化する(使えなくなる)ことで姿勢が崩れる、という捉え方もできます。
また「一方が使えなくなると、もう一方も使えなくなる」点も興味深いです。
一方の機能不全=もう一方の機能不全
頸長筋が機能不全に陥ると…頭部は前方に移動します。すると胸椎は過剰に後弯し、胸椎に起始する腸腰筋は常時、縮むか伸ばされます。いずれにせよ硬化し、日常の姿勢や動作において働かせることが難しくなります。
腸腰筋が機能不全に陥ると…上半身は後ろに倒れます。すると頭部は前方に移動し、頸長筋は常時ストレッチ状態になり、機能しにくくなり、顎が上がります。
要は一方が使えなくなると、もう一方も使えなくなる。一個崩れると、全部崩れるという事です。
下の画像のような猫背や反り腰やスウェイバック姿勢はすべて、首の筋肉『頸長筋』と腰の筋肉『腸腰筋』が機能的に作用していない姿勢です。
これらの姿勢が、要支援・要介護化の誘因でもある“関節疾患”や腰痛の原因、極言すれば“寝たきり大国問題”の根源といっても過言ではありません。
だからこそ不良姿勢改善のカギとなる2つの筋肉は一生鍛えるべきといえます。(便宜上“鍛える”と言っていますが「使えるようにする」というのがより正確かもしれません)
個人的には、2つ筋肉の連動性を得た方の不調が“満遍なく良くなる”事を多く経験しています。(腰痛を主訴として来院された方の不眠や肩凝りや食いしばりが一緒に消えたり)
チンイン(顎を引き枕を潰す)やテーブルトップ(仰臥位で脚を90度にキープ)はホームケア・エクササイズとして提示する事が多いですが
これらの筋肉のコントロール(脱力⇆随意収縮)が出来る事は他のどの筋肉よりもずっと重要ではないかと考えます。