腰痛の原因は“筋力不足”ではない

腰痛

「腰痛の原因は“筋力不足”です」「(腰痛をなおすために)鍛えましょう」

医師や療法士からこのような説明を受けた経験のある方は多いと思います。

しかしいざリハビリやジムやパーソナルトレーニングに通っても、筋力をつけても、腰痛は一向に治らない‥(むしろ悪化している‥)なんて方もまた、多いと思います。

じつは腰痛を治すには「筋力」より、カラダの“ある機能”を高めることが重要です。

今回はそんな、病院では教えてくれない「腰痛の真実」についてお伝えします。

腰痛はどの様にして起こるのか?

腰痛は「腰への負担が集中した結果」起こります。

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また、腰痛だけでなく【腰椎分離滑り症・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症】など「腰部脊椎疾患」も、腰への負担が集中した結果、起こります。

腰への負担の集中(=原因)
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腰痛および腰部脊椎疾患(=結果)

腰痛や脊椎疾患は「結果」です。

改善に必要なのは「結果」に注目することではなく

結果をもたらした「原因」――そもそもなぜ、腰に負担が集中していたのか?――の究明です。

“痛み”に注目▶︎湿布や痛み止めやブロック注射で“痛みを封じ込める”
“背骨の変形”に注目▶︎外科的手術で“変形を治す”

「結果に注目」する人の思考と行動

ほとんどの腰痛患者は痛みや診断名など結果にばかりフォーカスし、改善する/しないの土俵にすら上がれません。

薬やブロック注射を用いた“痛みの封印”に成功し「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ケースも、中長期的なスパンでみれば結果は同じでしょう。

原因究明=そもそもなぜ、腰に負担が集中していたのか?を判明させなければ、バケツの穴は空いたままです。

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なぜ「腰に負担が集中」していたのか?

続いて、一体なぜ「腰に負担が集中」していたのか?を考えていきましょう。

たとえば

「色んな姿勢がとれる」状態なら「負担は分散」します。

「自分の意思で」「痛みや違和感なく」猫背にも、反り腰にもできる、肋骨を開けるし、閉められる、しゃがめるし、あぐらをかけるし、割り座も正座もできる、腕が上がるし、背中で手を組める

姿勢や動きのバリエーションが豊富であれば「負担は分散」されます。腰痛も起こりにくいです。

反対に

「同じ姿勢しかとれない」状態が続くと「負担は集中」します。

常に猫背、反り腰、しゃがめない、あぐらがかけない、正座や割り座が出来ない、腕が上がりきらない、背中で手を組めない

とれない姿勢やできない動作がある、言い換えると“パターン化した”姿勢(動作)になる、ということは

使えない/使い過ぎな関節・筋肉があるということです。こんなとき特定箇所に負担は集中します

そうして特定箇所への負担の集中が長く続くと、腰痛や神経痛は現れます。それが何年•何十年と続くと“雨垂れ石を穿つ”ように、骨や関節が変形したり壊れたりします。

繰り返しますが、腰痛や背骨の変形は、長い時間をかけて産まれる「結果」です。

その“萌芽”=パターン化した姿勢(動作)は、痛みを感じた時点(あるいは診断がついた時点)よりずっと昔からありました。

ガムシャラな筋トレ外部からの介入(マッサージや薬や注射や手術)のみで、即時的・根本的に解決することなど到底できないのです。

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痛み止め/マッサージ/手術で「腰痛改善=半永久的な痛みの再発防止」はむすかしい

ここまでを整理すると‥

①腰痛も背骨の変形も、腰への負担の集中により生じる

②腰への負担の集中は「同じ姿勢(動作)=パターン化した姿勢(動作)」により生じる

③ ガムシャラな筋トレ外部からの介入(マッサージや薬や注射や手術)で、パターン化した姿勢(動作)を変えることはできない。腰痛は治せない

ということです。

余談ですが、ぎっくり腰(急性腰痛)も、慢性的に腰に負担がかかっている時の最後の一押し(かがんだ体勢でねじったり重いモノを持ったりくしゃみしたり)によって生じます。

パターン化した姿勢
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ちょっとした「肩凝り」
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時々襲う「腰痛」
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休職せざるを得ない程の「ギックリ腰」
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立てない/歩けない「坐骨神経痛」

▶︎すべて同一線上にある

なぜ「同じ姿勢」しか取れなくなるのか?

――その答えは「ラクだから」です。

ただし、ここでいう「ラク」というのは、筋力的な意味(省エネ的な意味)ではありません。

「猫背で居続けること」がラクだから、“違和感がない”から、猫背で居続けるのです。

猫背も反り腰も、同一姿勢が癖づくと、疲れやすく痛みも起こりやすくなるので「燃費」という意味ではむしろ悪くなります

ではなぜ、このような非合理的な姿勢戦略をとってしまうのか?――という問いに対するヒントは“固有感覚受容器”です。

関節や筋肉や靭帯の中には、カラダの“位置”や“動き”や“力み具合”を感じる“固有感覚受容器”が在ります。これは言わば“センサー”です。

目を閉じても手の位置が分かり、正確に肘を90度に曲げることができるのは、固有感覚(固有感覚受容器)のお陰です。

このセンサーは、習慣として繰り返す姿勢や動きにより「狂う」事があります。

ようするに毎日「猫背」で居続けると全身の筋肉や関節に在るセンサーが狂い、本来「違和感をおぼえる」姿勢である猫背が「ラクになる」「心地良くなる」のです。

そして逆に、良い姿勢をとろうとすると違和感をおぼえるようになります。

こうしてセンサー(固有感覚受容器)が狂い、“基準”がズレるから、負担は集中し、腰痛は起こります。

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本人は“真っ直ぐ”座っているつもりだが、実際には上半身重心がかなり後方偏位している。

【病院では教えてくれない真実】腰痛を治すには〇〇が必須

ここまでお読みいただき、勘の良い方はお分かりだと思いますが‥

単に筋トレをして筋力をつけたり、ストレッチをするだけでは「同じ姿勢しかとれない状態=パターン化した姿勢」は変わりません。つまり腰痛は治りません。

腰痛を治すために重要なのは「感覚を整える(固有感覚を正す)」ことです

具体的には、力を入れてないのにやたらとパンパンに張る様な「感覚が過敏で使いやすく、使いすぎな筋肉」の働きを抑制(使いすぎない様に)しつつ、

使い過ぎやすい筋肉‥モモの前側やモモの外側やふくらはぎ等の筋肉

感覚が“鈍く”なり、使いにくい筋肉は使いやすくする

使いにくくなりやすい筋肉‥お尻やお腹やモモ裏や足のゆび等の筋肉

こういった「感覚を整える」ことを目的としたアプローチが必要になります。

↑「側腹部の筋肉」の感覚を高め、使えるようにするアプローチの例

感覚がわからない筋肉のコントロールは不可能です。どんどん不使用の学習がなされ、萎えたり質的に硬くなったりします。

そしてその代わりに使いやすい筋肉をとことん使い、そこは更に過敏になり、使いやすくなり、パンパンに張り、関節の動きを制限したり骨格を歪めたりし、痛みを産みます

ストレッチやほぐしはそんな「過敏な筋肉」が、意図した運動の邪魔にならないよう「準備として」行うことです。

①ストレッチやほぐし▶︎感覚過敏な筋肉の“使いやすさ”を抑制

②運動▶︎感覚が鈍く使いにくい筋肉の【脳⇄中枢神経⇄末梢神経⇄筋肉】の“回路”を強化する

上記の流れで感覚を整え、だから姿勢は変わり、痛みは治ります。

多くの腰痛患者がぶち当たる壁――ゴリゴリ鍛えて筋力をつけても、腰痛は治らない‥(むしろ悪化している‥)――にはこういった背景がある訳です。

またそもそも「姿勢を保つ」為に必要な筋活動は【最大筋活動量の2%程度】と言われます。

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日常生活を支障なく送るために必要な筋活動は最大筋活動レベルのわずか3~18%ほど。(日常生活動作およびスポーツ基本動作の骨格筋活動レベル https://core.ac.uk/reader/267840570湯浅影元 より引用)

このことからも【筋力が弱い(筋活動が乏しい)▶︎姿勢崩れ/腰痛】という論は否定されます。じつは、正しい姿勢を保つのに、筋力はさほど必要ないのです(大人と比べればあきらかに筋力の弱い“幼児”も立てます)。

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痛みおよび姿勢改善において重要なのは

ラクではない姿勢を、ラクではないと感じ、修正できるかどうか

つまり“感覚”機能が正常かどうかです。

まとめ

“筋トレ至上主義”のような風潮もある昨今【腰痛改善=筋トレ】というイメージをもつ方も少なくないと思いますが‥

・腰痛を治す為には「感覚を高める」目的でストレッチや運動を行い、とれる姿勢のバリエーションを増やしていくことが欠かせない
・やみくもな筋トレで感覚を整え、姿勢のバリエーションをふやすことは難しい
・そもそも、姿勢を保つのに筋肉はさほど必要ない

これが病院では教えてくれない「腰痛の真実」です。

当院でも“感覚を整える運動”を中心に行います。それらはジムで行うような運動の対極にある、総じて地味な“やってる感のない”運動です。

お客様はガツガツした筋トレではなく「眠った筋肉を起こす」「感覚を養う」事を目的とした運動を主として行い、姿勢を変え、腰痛を卒業されています。

“ケガや痛みや不調の起こりにくいカラダ”を軸に考えたとき、いわゆる「筋トレ」はかなり上位の概念です。

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不調の起こりにくいカラダに必要な機能

なのでガムシャラにやみくもに筋トレを行うことが、不調を産んでしまうことは、あります。(あまり神経質になってしまうのも考えものですが)

リハビリやトレーニングに通ってもブロック注射を打っても手術をしても、なかなか良くならない痛みやしびれにお困りの方は一度ご連絡ください⬇︎

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