不調を放置し続けることは、健康寿命を縮める最も簡単な方法です。
寝たきり化や要介護状態に陥る大きな要因として、関節疾患や慢性腰痛などが挙げられます。これらを未然に防ぎ、あるいは早期に改善することは健康寿命の延伸に直結します。そして、そのために必要なのは、決して難しいことではありません。単純な話、「不調を放置しない」ことが重要なのです。
しかし現実には、痛みやしびれを感じた際、多くの方が「湿布」「痛み止め」「マッサージ」「ブロック注射」といったいわゆる“対症療法”に頼りがちです。対症療法そのものが悪いわけではありませんが、それだけに終始してしまうと、根本原因が取り除かれず、結果として腰痛や膝痛、坐骨神経痛、さらには変形性関節症などが進行してしまうケースを多く目にします。
これは、雨漏りに例えると理解しやすいでしょう。
屋根や壁に穴が空いていて雨が侵入しているのに、その穴を塞がず、ひたすらバケツで受け止めている状態です。放置すれば木材は腐り、鉄は錆び、カビやシロアリが発生し、建物の寿命は縮んでいきます。
人間の身体も同様で、不調の元を解決しないまま、その場しのぎの対処だけを繰り返せば、違和感が痛みに変わり、さらに進行してしびれや関節変形へと発展し、立つことも歩くこともおっくうになり、やがて寝たきりへと至る可能性が高まります。
問題を先延ばしする体質は、医療分野に限らずあらゆる領域で蔓延しているように見えます。国も人も、臭いものには蓋をするような対応を続ければ、いずれ大きな代償を払うことになります。それを避けるためには、「生涯健康でありたい」と願うなら、身近だからといって漫然と薬や湿布で痛みを誤魔化し続けるべきではありません。

腰痛の原因一覧-腰痛診療ガイドライン2019より
そもそも腰痛は、個人の習慣や身体の癖から生まれる複合的な問題であり、10人いれば10通りの原因が存在します。もし痛み止めひとつで解決できるなら、誰も腰痛に悩まないはずです。痛み止めやブロック注射は炎症を抑えるために有効な手段ではあるものの、その場しのぎであり、炎症を生む生活習慣や身体の使い方を変えなければ根本解決には至りません。
つまり、薬や注射などの対症療法は、原因を取り除く「根本治療」と組み合わせることが前提なのです。痛みを生み出す行動や姿勢、癖を知り、修正し、元々痛みのなかった体へと近づけていくことこそが、実はもっとも自然で確実な解決策なのです。
当院では、痛み止め、リハビリ、ブロック注射、手術などを行っても改善しなかった腰痛や坐骨神経痛に対して、根本原因を探り、習慣や身体の使い方を修正することで、徐々に痛みのない状態へと導くお手伝いをしています。




